風俗嬢から愛人へ①
二年半、関西で風俗嬢として働いた私は
彼氏の就職で大都会東京に住むことになりました。
とは言っても住むところは都会の外れで、落ち着いた住宅街でした。
しばらくは何もせずにダラダラとしていた私ですがその頃、もう一度風俗嬢てして働いてみたい(他店舗を知りたい)という気持ちが少なからずありました。
前のお店で売り上げが上がったことや、指名が増えていく快感を私は忘れられませんでした。
彼氏にはあまりいい顔をされなかったのですが、半ば強引にお店探しを始めました。
調べてみると東京はかなり店舗型のお店は少ない印象で、デリへル又はホテヘルが半分以上を占めていました。
私はとりあえず家から通いやすくて、女性スタッフが在籍しているお店を探し始めました。
後はグループで経営しているお店も安全性が高そうなので視野に入れていました。
探し始めて半月ほど経った頃、私はあるホテヘルのお店に体験入店の連絡をしました。
面接はお店のシステムの説明が殆どで
ホテヘルが初めてだったこともあり、とりあえず体験入店をすることになりました。
体験入店は二日後で久しぶりに働くこともあり、緊張していました。
当日は既に120分コースの予約が前日にされていたので、出勤より少し早めにお店に着きました。
店長から体験入店の講師の方を紹介され、お店から一番近いホテルに向かいました。
講師の方は40代くらいの女性で、とても気さくにルールを教えてくれたことを覚えています。
ホテルの室内でプレイを行うので、近くにスタッフが居ないことを頭に入れて、時間配分や本番行為の断り方を主に教えてもらいました。
少し緊張も解けたところで、いよいよホテヘル初のお客様とのご対面でした。
とても優しいおじさんで延長までしてもらい、プレイもかなり高い評価を貰えて嬉しかったです。
店長にも褒められ、早速次の出勤日を決めました。
そして、その次の出勤日に私の運命を変えるお客様と出会うことになります。
風俗嬢としての二年間②
前回の記事はこちらから
風俗嬢としてデビューしてから半年が過ぎ
私はレギュラーとして働き続けました。
夜の世界は出入りが激しくて、それでも長い期間一緒に働いてきた女の子とは仲良くしてもらっていました。
本指名をだんだん増やせるようになって安定してきた頃には、卒業する先輩も沢山いて凄く寂しかったです。
働いて一年する頃には、私はもうお店では先輩という立ち位置でいました。
新人の子を教えたり、アドバイスをする側に回っていました。
風俗には本当にいろんな女の子がいました。
借金の返済をするために働いてる子、ホストに行くために働いてる子、普通のバイトとして風俗を選んだ子、貯金のため、私みたいに特に何も考えずに飛び込んだ子。
もちろん、今でも連絡を取り合う子はいるのですがほんの一部です。
大体は卒業してしまえば、二度と会うことも無く本当の名前を知らないままお別れです。
卒業は女の子達といつもあんなに近くにいたのに、一気に距離を感じてしまう瞬間でした。
私が卒業を考え始めたのは、風俗を始めて一年半を過ぎた頃でした。
きっかけは彼氏の就職でした。東京で働くことを希望していたので、私は詳細が決まり次第お店に伝えるつもりでいました。
卒業の日は私がお店に入店してから、二年と4ヶ月経った頃でした。
卒業までの一ヶ月は引越しなどで忙しかったものの、女の子とご飯に行ったり残り少ない関西の日々を楽しんでいました。
卒業日は二日間とってもらい、すべて本指名の方で埋めてもらえました。
週一で通ってくれた方や遠方から来てくれた方、仕事を休んでまで来てくれた方もいました。
絶対泣かないと思っていたけれど、お客さんの涙を見ると泣かずにはいられませんでした。
この頃にはお店のナンバーにも入っていたり、写メ日記のランキングも上位にランクインしていたので
やっと、自分の目標としていた所へ辿り着けたばかりでした。
なんだか、もう少しここに居たいなぁと思っていましたし
その反面、自分の限界も感じ始めていました。
風俗の卒業は世の中のどの卒業よりも、一番あっけないと思います。
なんの経歴にもならないし、むしろ忘れるべき過去として位置付けられてしまうからです。
これから何も無かったかのように過ごして行かなければなりません。
それが凄く寂しくて辛かったです。
私は確かに此処に存在していたのに、それを証明するものが何も無いなんて、残酷な世界だとさえ思いました。
私は彼とふたりで関西を出ました。
出会った頃、22歳だった私は25歳を迎えようとしていました。
風俗嬢としての二年間①
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私は先輩風俗嬢にアドバイスを貰った日から、お客様ノートを自作で作りました。
売れている女の子はノートを結構作っていることが多くて、プレイの反省点だけでなく、お客さんを覚えることにも使えるのでかなり役に立ちました。
私は記憶力はそんなに悪くないのですが、流石に一日6~7人の接客をすると忘れてしまうことが多かったで助かりました。
後はプレイ中、ひとつひとつの動作を意識するようになりました。
愛撫やキス、フェラや素股については自分なりにネットや動画で学びましたし
仲のいいお客さんが出来ると教えてもらったりしていました。
入ったばかりの頃はお客さんがアドバイスしてくれても聞く耳も持たないで、うるさい~くらいしか思ってませんでしたが
風俗歴はお客さんの方が長かったりするので、とりあえず実践してみると好評な事が多かったです。
私が意識して行っていたことは
①(プレイが始まる前)座っているときは手を繋ぐなど身体の一部に触れていること
②キスをしたら次は耳を舐めること(耳は多くの人が性感帯)
③シャワーは密着して洗うこと(背中を洗うときは前から抱きつくようにして洗う)
④終わったら必ず一緒に横になる時間を作ること
⑤服は畳むこと、靴は揃えること
⑥シャワー後はタオルで優しく拭いてあげること
これは、どのお客さんにも共通して必ず行いました。
それでも数ヶ月は、本指名のお客さんはチラホラ来てくれるくらいで
なかなか思い通りになりませんでした。
風俗嬢はお店にもよるのですが、確かにある程度は稼げる職業だと思います。
低くても6時間で3万円前後は貰えます。
けれどナンバーに入ってる女の子は、同じ時間で倍以上稼いでいるのが現状です。
月で換算したら凄い差になります。
私は彼氏に風俗をしたいと話したとき、目標をきちんと決めなと言われたことを思い出していました。
自分なりにプロ意識をもって働けるようになり、半年が過ぎました。
私が自分の成果をはじめて実感したのは、とあるお店のイベントでした。
いつもと違うコスチュームに着替えて女の子が出勤するイベントで、お店全体も張り切っていました。
人気のある女の子は三日前に予約完売になっていたり、実力の差を改めて感じました。
私は当日に何人か来てくれればいいかなと、特に期待せずにいました。
けれど当日に自分の予約表をみると、一枠しか予約が空いてない状態で
他は全て本指名の方で埋まっていました。
本当に泣きそうなくらい嬉しくて、この日来てくれたお客さんを今でも全員覚えています。
新人風俗嬢として②
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新人として働いた1ヶ月のお給料は70万程。
週に4~5日出勤、6時間勤務でした。
この時の私のプレイは良くも悪くも、お客さんの言う通りにしていました。
してほしいことを言われたらして、攻めたい人ならベットの上で適当に声を出していました。
自分から密着することもキスをすることもなく、時間が余れば話して繋いでそんな事を繰り返していました。
それが普通だと思っていました。
私が自分でこの間違いに気付くのは意外にも早く訪れました。
風俗には本指名というものがあります。
いわゆるリピーターさんで、2回目以降指名として来てくれたお客さんを指します。
本指名で来てくれると、いくつか良い点があります。一番はその時間は予約が埋まることです。風俗嬢にとって待機時間は無駄でしかないので大変助かります。
金銭面でも指名料が2000~3000円加算されます。他のネット指名やパネル指名よりも格段に多いです。
後は精神的に楽なことがあると思います。これは人によると思うのですが、やはり新規のお客さんは初対面なのでどんな人か分かりません。
リピーターさんで何回か通ってくれれば、その人自身やプレイ内容など把握しているので、風俗嬢側も余裕をもって接客できます。
私はこの本指名のお客さんが次の月に一人も来ませんでした。
なぜ焦ったのかというと、私と同じくらいに入店した女の子は本指名を週単位で返していたんです。
完全に自分に何か落ち度があるのだと理解しました。
悔しかったし、70万円のお給料で浮かれていた自分が一気に恥ずかしくなりました。
そして何がいけなかったのか考えました。
顔がいけないのだろうか
胸が大きくないからなのか
話が上手くないからなのか
プレイが上手くないからなのか
焦れば焦るほど接客は上手くいかなくなり、待機の時間が長くなっていきました。
フリーのお客さん(指名なしでお店来るお客さん)に付くことも多くなっていました。
新人期間も二ヶ月が超えた頃、いつもお店のナンバーに入っている女の子と話す機会がありました。
「ゆきちゃん、お店慣れたかな?」
その女の子はいつも出勤時間より早めに来ていて、待機室でゆっくり準備をしていました。
私が悩みをツラツラ話し出すと、少し困った顔して
「風俗って絶対お客さんとの相性はあると思うんだよね、けど自分の強みを見つけるとやりやすいと思うよ」
「ゆきちゃんは見た目は清楚系でロリっぽいから、そういう女の子が好きなお客さんを狙った方がいいよ。アドバイスとしては、キャラ作りは少なからずした方が自分も楽かな?素で接客するよりもね」
「自分がね、されたら嬉しいことをしたらいいんだよ」
私はこの言葉でどれだけ自分のプロ意識が低かったのか思い知らされました。
その日の出勤が終わると私はノートを買いに行き、今日接客したお客さんを全員書き出しました。
お客さんの名前や年齢、プレイ内容、特徴などを全て書いて絶対に本指名を取ろうと誓いました。
新人風俗嬢として①
〝ゆき〟という新しい名前で私は風俗嬢として働き始めました。
お店は店舗型のファッションヘルスで
在籍している風俗嬢は30~40人程。
半分はレギュラーで(週三日以上の出勤)残りの半分は副業で働いている子が多かったです。
女の子の年齢は下は18歳で上は28~29歳くらいの方まで働いていました。
お店の営業時間は早朝6時から深夜24時まで。
その頃は早朝出勤の女の子が少なく、私はしばらく朝の6時から12時まで出勤することになりました。
夜の方がお客さんも多かったのですが、未経験な事もあり、最初は慣れる為にもゆっくり働くのもいいと朝出勤にしました。
体験入店を終えて、その二日後が私の初出勤の日でした。
朝の4時に起きてシャワーを浴び、支度をしてタクシーでお店に向かいました。
お店に入ると副店長が迎えてくれました。
「ゆきちゃん!おはよう。予約結構入っているよ~」
お店の予約表には、女の子の名前が何人か書かれていました。
私の風俗デビュー日は、全ての予約で埋まっていました。
体験入店で大体の流れを分かっていたものの、やはり働くのは初日ということで緊張していたのを覚えています。
この日は6時間働きました。
大体、一時間一本のペースなので六人のお客さんを接客しました。
終わる頃にはくたくたで、最初に付いたお客さんの顔なんて思い出せないほどでした。
この日に付いたお客さんはほぼ、ネット指名で来てくれた方でした。
ネット指名はお店のホームページを見て、事前に予約するシステムになります。
お客さんの入れ替えの時間に待機室へ戻ると、同じ時間に出勤の女の子が待機していました。
「お疲れ様~!」
人数は三人ほどで、かなり長く待機している子もいる印象でした。
この時の私は当たり前に、これからもネット指名は入るものだと思っていたし
待機の時間なんて、そんなに訪れないだろうと思っていました。
出勤が終わると副店長と一緒に、パネル撮影をすることになりました。
お店から少し離れたスタジオで、カメラマンさんの言う通りにポーズを撮り
はじめて自分の下着姿の写真を他人と確認をしました。
恥ずかしさよりも「私ってこんな身体しているんだぁ」と、マジマジ見てしまった記憶があります。
パネルがお店のホームページにアップされたことで、ネット指名は増え続け
私は風俗デビューしてから1ヶ月間は待機することなく稼ぎ続きました。
気づいたら月に70万を稼いでいました。
しかし、次の月から一気に稼げなくなることを私はまだ知りませんでした。
風俗嬢は本当に感じているのか問題
女の子の反応は演技ではないのか、
これは風俗を超えて永遠の謎ですよね。
私はバリバリ現役の頃は1ヶ月約120人のお客さんの相手をさせてもらってました。
結果的にいうと風俗嬢は演技はします。
これはもう当たり前ですよね、仕方ないです。
けれど今回話したいのは、演技はそもそも悪いものではない事と、なんで風俗嬢は感じてくれないのかという問題です。
風俗はテーマパークだと思ってほしい
私が働いていたお店で、あるスタッフの方がよく言っていたセリフです。
これは女の子に向けて「お客さんを楽しませて!」という意味だったのですが、今思うとかなり奥が深いです。
ディズニーランドは夢の国ですが、もちろん働いている方にはお給料が発生していますし
ミッキーだって夢の国を出れば普通の人間です。けど、それをお客さんに絶対感じさせてはいけないですよね。
ディズニー好きの方には、かなり不快な例えで申し訳ないのですが
風俗嬢は全くその気がなくても、お店では〝エッチな女の子〟を演じなければいけないんです。
言っちゃえば演技は当たり前な事なんです。
大事なのは〝演技だと気付かせない程の空気感を作ること〟だと思ってます。
なので、お客さんも良い意味で風俗はテーマパークに来ていると思って楽しんでほしいです。
どうしたら気持ちよくなるのか問題
いやいや!俺は本当に女の子が感じてないと嫌なんだ!という方もいると思います。
全国の風俗嬢は耳にタコが出来るくらい毎日質問されています。
「どこが気持ちいいの?」
「どうすれば感じるの?」
確かに人によって性感帯は違いますし、聞くなとは言いません。
ほとんどの風俗嬢は玄人になっていく段階で、受け身から攻めのサービスへ変わっていきます。(最終的にフィニッシュさせなければいけない目的もありますが)
何が言いたいのかと言うと、
大抵の男の人ってそんな攻めるのが上手くないんです。
これに関して風俗に行ってる男だからでしょ?と思われる方がいるはずなんですが、あんまり関係ないと思います(本当に風俗が無理な人って少数派です)
テクニックってそもそも何…
テクニックは全く関係ないの?と聞かれたら、関係は少なからずあると思います。
けど、これは風俗嬢側にも言えるのですが、テクニックがあっても相手を気持ちよくさせるのは難しいです。
試行錯誤しながら何十人と相手をして、やっとベースが出来る→タイプ別に分ける→見合ったプレイ(テクニック)をするといった感じです。
プラス気持ちが冷めないように、雰囲気作りや気遣いもしなければならないです。
これだけだと、それなら沢山経験があればいいだけだと思われそうですが違います。
そもそもセックスしている最中に上記に書いたように考えてしているのか、という問題です。
多くはしていないと思いますし、それが普通なんです。
最中に頭をフル回転させてるのは、AV男優さんくらいじゃないですかね(すごいと思います)
女性の身体的な問題
それでも今までの彼女は満足してくれた!って思う方、それは正解だと思います。
好きだということを大前提にしても、回数を重ねながらお互い気持ちよくなる為に頑張ってきた成果だと思います。
女性の身体は複雑で、体調は日によって違います。それ抜きにしても、人によって気持ちいい部分や不快な部分は異なります。
あの子は喜んでくれたからは通用しなかったりします。
お互いの歩み寄りは風俗では難しいです。
風俗嬢の気持ち的な問題
風俗嬢も人間ですので、好きな人との行為は気持ちはいいと思います。
しかし、先ほど会ったばかりの人を好きになるのは不可能に近いですよね。
それを除いても風俗嬢のプレイはもちろん仕事です。プライベートのセックスとは違います。
裏付ける一つが時間制限です。
風俗嬢は決められた時間内でお客さんを満足させなければいけません。攻められてるときも常に時間を気にしなければなりません。
シャワーの時間、服を着る時間、お見送りの時間を頭の中に入れて仕事をしています。
風俗嬢が一番焦る場面は、お客さんがなかなかフィニッシュしない時です。お願いですから、お客さんも出来る限り集中してくれと願っています。
こう言った事からも、風俗嬢が素で感じて気持ちよくなることは難しいと思うのです。
最後に
ここまで夢のない話をしてしまいましたが、私の個人的意見ですので全てではないです。
私も実際に数人でしたが、本当に気持ちのいい攻め方をしてくれるお客さんもいらっしゃいました。相性ももちろんありますよね。
女の子が感じてる姿を見たいなら、風俗嬢は攻めるだけが仕事じゃないので
その辺も安心してもらって大丈夫だと思います。(もちろん優しく攻めて下さい!)
けど、個人的には風俗で遊ぶなら攻められた方が楽しいよ~!って思ってしまいます(笑)
風俗嬢デビュー③
前回の記事はこちらから
「源氏名決めてなかったね」
中野さんは私の方を見て言いました。
少し離れた場所から煙草を吸っていた女の子が
「今、決めればいいちゃうん?」
とニコニコしながら私に問いかけました。
ほかの女の子も賛同してくれて、みんなで私の名前を決めてくれました。
私の源氏名は〝ゆき〟になりました。
色の白さと、雪国で育ったという理由からでした。
それから、中野さんと女の子にお店のルールや仕様を教えてもらいました。
出勤する一時間前に確認メールを送ること
お店に来たらスタッフに挨拶をし、タイムカードを切ること
制服に着替えて五分前には準備を終わらせること
女の子同士で派閥を作らず仲良くすること
お客さんとの連絡先の交換は禁止
待機室でお客さんの悪口を言わないこと
今書き出してみても、きちんとしているお店だったと思います。私はここで働くことを決め、三日後に体験入店することになりました。
お店の見学が終わると、待っていてくれた彼と手を繋いで家まで帰りました。
私は興奮しながら一部始終を話し、このお店で働きたいことを伝えました。
その日は不安と期待が入り交じって、久しぶりに寝付きが悪い夜でしたが、決して嫌な感情ではありませんでした。
体験入店する日はあっという間に訪れました。
お店に入ると、はじめて店長と挨拶をしました。
「これからよろしくね」
どこか影のある印象で、少し怖さも感じました。
後からきた中野さんに
「ゆきちゃん緊張してる?」と言われ、私は苦笑いで頷きました。
制服を着て、いよいよ待機していると
ものの数分でコールがかかり私の名前が呼ばれました。
「ゆきさん、三番のお部屋へお願いします」
いよいよ緊張もピークでした。
中野さんに説明を受けたことを思い出しながら、お客さんの待つ部屋へ向かいました。
薄暗い廊下に3という文字が書かれていて、部屋の前に立つと三回ノックしました。
「はーい!」男の人の声がしました。
「失礼します」と言って入ると、40代くらいのスーツのおじさんが座っていました。
「ゆきちゃんだよね、ホームページ見て予約したんだよ」
風俗に通っている常連さんは、新人目当てで来る方も多くいるのですが
私のはじめてのお客さんも所謂、新人キラーでした。
服を脱ぎ、畳んでシャワーを浴びる。
言われるがままに寝て、お客さんに奉仕して終わる。
とんでもなく、あっさりしていました。
こんなものなのかと拍子抜けしました。
気持ち悪いとか、汚いという感情は全くありませんでした。
逆にこれはいける、私は働けるんだという自信さえありました。
けれど、これが落とし穴ということに
私はまだ気付きませんでした。
お客さんを下の階まで見送ったあと、すぐに中野さんと副店長の村野さんが駆けつけてくれました。
「どうだった?大丈夫そう??」
私は緊張したけれど、お客さんも優しかったし大丈夫だったと答えました。
「よかった、ゆきちゃんは人当たりがいいから安心だよ。これからよろしくね。」
村野さんは私の手を握り、横で中野さんも小さく頷きました。
「よろしくお願いします」
私は風俗嬢になりました。