風俗嬢としての二年間②
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風俗嬢としてデビューしてから半年が過ぎ
私はレギュラーとして働き続けました。
夜の世界は出入りが激しくて、それでも長い期間一緒に働いてきた女の子とは仲良くしてもらっていました。
本指名をだんだん増やせるようになって安定してきた頃には、卒業する先輩も沢山いて凄く寂しかったです。
働いて一年する頃には、私はもうお店では先輩という立ち位置でいました。
新人の子を教えたり、アドバイスをする側に回っていました。
風俗には本当にいろんな女の子がいました。
借金の返済をするために働いてる子、ホストに行くために働いてる子、普通のバイトとして風俗を選んだ子、貯金のため、私みたいに特に何も考えずに飛び込んだ子。
もちろん、今でも連絡を取り合う子はいるのですがほんの一部です。
大体は卒業してしまえば、二度と会うことも無く本当の名前を知らないままお別れです。
卒業は女の子達といつもあんなに近くにいたのに、一気に距離を感じてしまう瞬間でした。
私が卒業を考え始めたのは、風俗を始めて一年半を過ぎた頃でした。
きっかけは彼氏の就職でした。東京で働くことを希望していたので、私は詳細が決まり次第お店に伝えるつもりでいました。
卒業の日は私がお店に入店してから、二年と4ヶ月経った頃でした。
卒業までの一ヶ月は引越しなどで忙しかったものの、女の子とご飯に行ったり残り少ない関西の日々を楽しんでいました。
卒業日は二日間とってもらい、すべて本指名の方で埋めてもらえました。
週一で通ってくれた方や遠方から来てくれた方、仕事を休んでまで来てくれた方もいました。
絶対泣かないと思っていたけれど、お客さんの涙を見ると泣かずにはいられませんでした。
この頃にはお店のナンバーにも入っていたり、写メ日記のランキングも上位にランクインしていたので
やっと、自分の目標としていた所へ辿り着けたばかりでした。
なんだか、もう少しここに居たいなぁと思っていましたし
その反面、自分の限界も感じ始めていました。
風俗の卒業は世の中のどの卒業よりも、一番あっけないと思います。
なんの経歴にもならないし、むしろ忘れるべき過去として位置付けられてしまうからです。
これから何も無かったかのように過ごして行かなければなりません。
それが凄く寂しくて辛かったです。
私は確かに此処に存在していたのに、それを証明するものが何も無いなんて、残酷な世界だとさえ思いました。
私は彼とふたりで関西を出ました。
出会った頃、22歳だった私は25歳を迎えようとしていました。