風俗をはじめる前②
前回の記事では、風俗で働き始める前の私について
大学を卒業、就職、そして退職するまでを書いてみました。
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今から五年前の夏、私は大学時代の友人A(以下A)に誘われて関西旅行に行くことになりました。
北陸から出発し、東京から東海道新幹線に乗り換え、いよいよ目的地に到着しました。
まだ残暑は厳しく、駅からホテルまでの数分の距離がとても遠く感じたのを覚えています。
旅行は三泊四日で、特に予定も決めずにゆっくり楽しむのが目的でした。
ただ初日の夜のみ、Aの後輩が関西の大学に通っているらしく、Aと私も含めて飲み会に誘われていました。
なんでも関西の大学生が大勢参加している、わりかし大規模な飲み会だと聞いていたので
私達は土壇場になっても行くか行かないか迷っていました。(※気分が乗ったら来て!くらいの軽い誘いだった為)
到着時には移動の疲れもあったので、飲み会は断って駅周辺で夕ご飯を済ませようかと話していたのですが
ホテルで少し休憩とったら二人とも体力が回復し、
知らない土地の旅行初夜という事でテンションが上がっていたこともあり
結局そのまま飲み会へ足を運ぶことになりました。
どちらかと言えば私もAも人見知りをする方で
初めて来た土地で初対面の人ばかりがいる飲み会に行くなんて考えられないタイプでした。
まさに旅行マジックでした。
あの時の行動力は今でも凄いなと思いますし、これから起こる出来事はそれ以上に私自身を驚かせました。
飲み会の会場は繁華街を少し抜けた場所にあり、店内は一般的な居酒屋より広い印象でした。
中に入ると貸し切りということで、すぐさま騒がしい雰囲気を感じ取った私たちは、早くも来たことを後悔し始めました。
ですが、せっかく来たばかりだというのに帰る訳にもいきません。Aの後輩と少し話をした後に席に通されました。
案内された席には4、5人の男女が固まっていて、私達は一番端の席に隣同士で座りました。
同じ席にいた男女とは、最初の「旅行で来たんですよ~」といった会話以降あまり話しもせず、Aと二人きりでお酒を飲みながら楽しく話していました。
そこそこ酔いが回り気分もよくなって来た頃に
ふと携帯をみると母親から不在着信がありました。
私の体調を心配していた母は、夜に電話をするように言われたことを思い出しました。
私は慌ててAに一言伝えたあと、外に出て母親に電話をかけました。
母との電話は五分程で終わり、急いで店内に戻ろうとしたとき斜め後ろから
「彼氏さんに電話してたんですか?」
と、声が聞こえました。
振り返ると、同い年くらいの白いシャツを着た男の子が煙草を吸いながらしゃがんでいました。
「いや、母親です」
これが彼との最初の会話で
数日後、私たちは付き合うことになります。